スペインの異端児、テルモ・ロドリゲス

2021/04/04 古武士屋日記

みなさま、こんにちは。

今回の担当は、井筒屋店の岩本です。

 

今回、ご紹介するワインは、

かつて「スペインの異端児と」呼ばれた“テルモ・ロドリゲス”のワインです。

 

テルモ・ロドリゲスは1962年(実は同級生なんですね♪)、リオハの名門ワイナリー「レメリュリ」を所有する一家に生まれました。

ビルバオ大学を卒業後、醸造家になる勉強をするためにフランス、ボルドー大学醸造学部に留学し、卒業後はボルドーのコス・デス・トゥルネルをはじめ、フランスの名だたる醸造家の元で研鑽を積み増した。

そして、1989年より実家レメリュリに戻り、ワインメーカーとしてキャリアをスタートしました。

しかし、ワイン造りに対する意見の違いからオーナーである父、ハイメと衝突。自らの信じるワイン造りを行うために、レメリュリでのキャリアを捨て、1994年に盟友とコンパニア・デ・ビノス・テルモ・ロドリゲスを設立。自らの信じるワイン造りをスタートしました。

※注 レメリュリも、素晴らしいワイナリーです。伝統的なリオハのワインを造る、屈指の造り手です。

 

テルモが自らの会社を設立した1990年代のスペインでは、カベルネ・ソーヴィニョンやシャルドネなどフランス系の国際品種を取り入れる動きが活発であり、伝統的でマイナーなスペイン土着の固有品種から、そうした国際品種への改植が進められていた時代でした。

テルモはこのままではスペイン固有の品種とワイン生産の文化と歴史が途絶えてしまうと危惧し、

「かつてワイン生産の歴史と文化がありながら、現在は忘れ去られた無名の、もしくは低い評価の産地で固有品種のワインを造り、国際的に受け入れられる評価を獲得することにより、産地や固有品種の価値を取り戻す」ことを目指したワイン造りを行うことを決意します。

そんなテルモの造るワイン、

“デヘサ・ガゴ”は、、、

古くからのワイン生産地でありながら注目されなかったトロですが、近年はベガ・シシリアを始め、著名な生産者が進出をしています。ティンタ・デ・トロ(テンプラニーリョ)種は接木されることない自根で、パワフルで果実味に溢れた姿を表現しています。

濃いルビー色を放ち、ベリーを筆頭とする黒系果実にスパイスの香りが合わさります。噛めるほどの凝縮感があるのになめらかで、甘すぎず絶妙のバランスで優しい酸味も健在です。ステンレスタンクのみの発酵で、リリース直後から愉しめ、コクを楽しみながらゆっくり飲んで納得の1本です。

 

そしてもう1本、“アル”。

バレンシア州の最南部、地中海に近いこの地方のブドウ畑の歴史は古く、重要な品種の1つでスペインが起源とされる、モナストレル(=ムールヴェドル)が育ちます。 長らくバルクワインや補助品種として使われ、不当に低い評価を受けていましたが、テルモ氏はこの品種のポテンシャルに注目し、単一使用で美味しいワインを造ることに成功し、ベストの状態が採れるアリカンテの土地の素晴らしさを表現しています。

淡いルビー色を放ち、ラズベリーやイチゴなど赤果実を想わすフレッシュな香りが広がります。ステンレスタンク熟成でシンプルに仕上ており、タンニンも果実味もバランス良く上品で、すぐに美味しいチャーミングさを併せ持つ優秀な赤ワインです。

こだわりを徹底しながらも、このコスパで仕上げられる手腕に、ただ脱帽するばかりです。